2012年6月9日土曜日

Paris 苺をつぶしながら



わたしはどちらかというと、すぐに感覚的に物事を判断し、その場の、その時の匂いで好き嫌いを決めてしまうところがある そしてそれを元に行動する
それは時と場合によってよかったり、裏目に出たりするので、いいか悪いかという問題ではないが、そうやってしかできない



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そっちへ行ったらだめ、かしこくない、とか頭でわかってても、結局いい匂いに惹きつけられてそっちにいってしまったり
もうぜったい行くべきって、すでに体が反応してて、結果それがすごくいいことを運んできて、ああ、読み違えないでよかったな、と思ったり



わたしのことをよく知る人には、それは結局、猿みたいに欲望に忠実なだけなんじゃね?とか言われたりする







何がそんなに惹きつけるのか、惹き付け合うのか
頭で考えられないので、結局前世、とか カルマ、とかそんな怪しいあやふやな、それでいて妙に魅力的な言い訳でごまかしてみたりする、しかなくなる

そんな状態、結局のところ、それが、恋をしてる、という表現になるのかもしれない



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先日、ポーンと時間が空いたので、最近やっと公開されたウッディ・アレンの「Midnight in Paris」をひとりで見に行った



冒頭30秒で、今、わたしはなんでよりにもよってこれ選んでしまった?と頭が警告を出し、暗転した劇場で、ストンと突然わたしひとりになった



会いたかった、会えなかった恋人に、偶然に会ってしまって、感情が突如にしてあふれ出す感覚
直視したくないのに、目が離せなくて、自分の跡を随所に見つけてしまう



時間と場所は交差し、お互い重なりあって糸のように紡がれ織り成されていくが、
パリだけは特別で
その場所だけが独立して存在し、そこに時間が渦をまいて垂直に延びている
なんていう、わけもわからないことが頭にポンと浮かんだりして、一種、幽体離脱のように映画を楽しんだ (したことないけど、幽体離脱ww)



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ストーリー自体は、ウッディ・アレンのいつものシニカルなユーモアがふんだんに散りばめてあって、すごく素敵な映画だった コメディだし見やすい
なんといってもマリオン・コティヤールが可愛いすぎてうはうは♥





このところずーっとずーっと陥っていたある状態、 知らず知らずのうちに渇望していて、その渇望状態は自分でわかってはいたけど、何に渇望しているのかってのが分からず、もがき苦しんでいた、状態
その答えが、この映画を観たタイミングと、そのあとに話した友人の言葉から分かった気がする

ようするに、パリと恋をしているのだ




それがわかって、いろんなことがもっとシンプルに、もはや開きなおって考えられそうな気がしてきた

最後に、この映画の中のように、ヘミングウェイの文章を引用

もしもきみが幸運にも 青年時代にパリに住んだとすれば
きみが残りの人生をどこで過ごそうとも
それはきみについてまわる
なぜならば パリは移動祝祭日だからだ
(移動祝祭日 福田陸太郎 訳)







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Photos: Inez van Lamsweerde and Vinoodh Matadin for Visionaire October 2006