2018年7月23日月曜日

愛しい身体

ある友達から紹介されて、中医学を基本とした鍼治療を行う整体に通っている。整体と言っても普通の整体とは違い少し変わっている。少し変わっていることの詳細はまた機会があれば書くとして、男性と女性がふたりがかりで施術をおこなってくれる。男性の先生が身体を観察し骨や内臓の位置を整えながら体が発している声をきいていく。体があげている悲鳴を汲み取っていくことは心の問題を洗い出していくことになる。その悲鳴の原因になっている心の問題を女性の先生と一緒に紐解いていくという流れ。


「体が何かを決めたみたいなことを表明しているけど、何か思い当たることはある?」と聞かれ、思い当たることがすぐに見つからなかったので少し考えてからなんとなく感じることを伝えると、「うーん、体はそういうことを言っているじゃないようなんだけどなあ。」と先生はいう。そして少しずつ自分の体が言い表そうとしていることを先生たちと一緒に探っていく。


1回目、施術の半分あたりから、わたしは寝台に寝たまま、気がついたらポロポロこぼれる涙を出しっぱなしにしていた。鍼を全身にさされて寝かされている間も感情が後から後から涙と一緒に溢れてくる。「やっと涙が出てきたね。それでいいんだよ。涙と一緒に悲しい感情もすべて出るからね。尿と一緒にも悲しい感情は排出されるからたくさん尿がでるように鍼をさしているからね。」とムッシュに声をかけられる。


初めての診療が終わり診療所を出た後、体と心の緊張がとけている身体を抱え、夕方帰宅ラッシュと観光客で満員のトラムにはすぐに乗る気にならなかったので、少し近くのカフェで休んでいくことにした。注文したノワゼットを一口飲んだあたりから、また自然に涙が次から次から溢れてくる。今にも雨が降り出しそうな灰色の空を見上げながら、この体と心の不思議な反応に身をまかせていた。身体はすでに知っているのに、自分自身が分かっていない問題のどれだけ多いことかと、施術を重ねる度に驚く。1時間半から2時間の施術のあと身体はもちろん、心が軽くなっている感じに毎回不思議な感覚を覚える。

なぜわたしたちは肉体を持って生まれているのか。ある本によると、心あるいは魂が抱えている問題を表面化し認識させるためだという。



施術を重ねる毎に少しずずわたしの身体に変化が起きているを感じる。体が必死で何かを教えてくれているということを考えると、なんて愛しいものをわたしは持っているんだろうかと思わずにはいられない。ヨガも、もう少ししたらまた再開できるかもしれないなあ。

愛しい日々の連続を♡


2018年7月10日火曜日

真夏の興奮ファッション考

大好きな南仏の夏にひとつだけつまらないことがあるとすれば、お洒落の幅がいっきに狭まること。暑いので気取ったバーやレストランなんかに行かない限り、いつもタンクトップのショートパンツという出で立ちになってしまう。これは本当につまらない。
モード界ではオートクチュールコレクションが行われていたばかりというのに、なんというかけ離れた日常でしょう。

なんてくさくさしていた矢先、ネットの記事で目にしたSchiaparelli(スキャパレリ)のパリ、オペラガルニエで行われたオートクチュールコレクションの写真。エキサイティングなコレクションたちに、何年ぶりだろう、というくらいに久しぶりに興奮してしまった。

                         





フランスに住んでいると、自分でも知らず知らずのうちに保守的な洋服を着るようになってしまう傾向にある。フランスではニューヨークやロンドンのような個性的なファッションよりも、どちらかというとシンプルにお洒落を楽しむ人が多い。よくいえばフレンチシックというのだろうけれど、これは目鼻立のはっきりしたフランスの女の子が、しかもその独特のちょっと突き放したような雰囲気をまとってこそ似合うのであって、わたしたちのっぺりん顔といつも薄く笑顔を絶やさない日本人にはどうしても安物感がただよってしまう気がする。元気溌剌としたアングロサクソン独特の雰囲気にもあまりそぐわない。そうわかっていても気付いたらどうも保守的な方へ感覚が流されていく。
そんなところで、Schiaparelliの最新秋冬のコレクションを目にしたわけだ。




細部のディテールは繊細で、女性の体を綺麗に見せるラインが嫌味なく際立つ。それでいてどこかマスキュランな雰囲気が漂い、かつ大胆でアーティスティックなヴィンテージ服のようなBertand Guyonのデザインしたコレクションは、ズキュンと真っ向からツボ!
(ツボ!と言っても買えるというわけでは到底ないのだけれど)





クリエイティビティな感覚に刺激を受け、創作意欲に燃えた興奮冷めやらぬ週末、じゃあ今日はちょっとブラウスに長ズボン(!)でも、と履いて外に出るやいなや汗べったり、結局ショーパンに着替えるはめになるのだ。

で、朝からひとりそそくさとスポーツ用品を買いに行っているシリルからSMSで写真が届く。
「これ買おうと思うけどどう思う?」



ああ、なんてモードからかけ離れた日常なんでしょう...

愛しい日々の連続を♡


2018年7月1日日曜日

ニースのブルックリンへ

友達のアレクサンドラが周りのクリエイターの子たちとオープンしたアトリエ&コーワーキングスペース、L'Atelier ouvert のオープ二ング。


2日前にアトリエを訪れた時には、え?明後日展示会初日でしょ?大丈夫?みたいになんにも準備進んでないみたいにみえたのに、そこはさすがフランス人、土壇場の底力とセンスで、オープニングは超素敵に仕上がっていた。

                             

このアトリエはアレックスが作る服のブランドPiece à porter を中心に、服作りや物作りをする人たちとシェアするためのスペースで、ニースのセンターから少しだけ外れた場所にある。NYでいうとブルックリンにあるアトリエみたいだななんて勝手に思っている。



わたしがアレックスと繋がったのもアレックスの作る超可愛い洋服がきっかけで、SNSやらネット上の繋がりが多い今、物作りから縁が繋がるって素敵なことだ。



今回の展示のテーマは写真家アラーキー(荒木経惟)で、わたしもローケーキでオープニングにコラボで参加した。

                  


                  



脳内クリーニングのパフォーマンス、セルフィーアラーキー風

こういうスペースはニースにはあんまりないので、とてもわくわく。

                   


愛しい日々の連続を♡