2015年8月26日水曜日

結婚式の一日

結婚式が無事終わった。親族と親しい友人だけの小さな結婚式で、終始アットホームな雰囲気で緊張することなく。

区役所で区長さんのスピーチを聞いて誓いをする。証人とともに婚姻届けにサインをする。区長さんが気の利いた軽いジョークをはさむので、場が和む。
区役所での式が終わった後は、親戚の家に移動してカクテルパーティ。ロゼやシードルなどののお酒を飲んで軽食をつまむ。


わたしはこの日一日で、どれだけの回数のビズをし、どれだけの人に抱きしめてもらっただろうか?とても温かく家族に受け入れてもらったことを本当に感謝する。

家を出発前。まだ時間の余裕ありw

さて、この日朝から晩までフランス人だらけの中に居て、改めて二つのことを発見した。ひとつめは、彼らには「時間を守る」という概念がないわけではなく、「前もって時間を計算する」という概念がないのだということ(笑)
それからふたつめ。彼らのお喋りが時間の遅れにおおいに関わっていること、そしてそのことに誰ひとり一切気づいていないということ。


朝8時ホテル。比較的ゆっくり起きて、彼と一緒に準備をし始める。今日の段取りを彼に尋ねる。「すぐにお義母さんの家へ移動して、ゆっくり朝食をとる。シャワーを浴びる。10時半に花屋さんへブーケを受け取りに行く。その後、11時にナタリー&フランクをホテルまで車で迎えにいく。そこから家で料理をして軽い昼食をとる。ドレスに着替えて身支度をして、13時過ぎに出発する。14時に区役所で全員と待ち合わせだからね。余裕だよね。」
彼はなんとも時間に余裕があるかのようにわたしに話す。
でもかつてフランスで、時間に余裕があったことなんてあっただろうか?


結果、その後の時間の経過はこうだった。
お義母さんがホテルに迎えてに来てくれたのが9時前、家に着いたのは9時半前。そこから朝食をとる。(もちろんたくさんのお喋りとともに。)花屋には10時半の予定じゃなかったっけ?わたしはすでに時間の余裕のなさにそわそわしている。わたしがシャワーを浴びたのは10時。わたしが彼に急がないとと促してようやく彼も時間のなさに気づき始める。彼がシャワーを浴びたのがそのあと。家を出るのは当然10時半。
花屋でブーケを受け取るまでの10分間、お義母さんは、たくさんやることがあるので、車で一旦家に帰って食材屋さんによって、それからもう一度わたしたちを花屋まで迎えにくるという。10分間でそれをする??ぜったいにできないとわたしは心の中で確信する。


案の定、わたしたちは花屋の前で15分ほど待ち、当然ナタリーたちのホテルに着いたのは11時20分。家に戻ってきたのが11時半。
なんとか昼食も、身支度も済ませ、時計を見ると13時過ぎ。
あら、なんだ余裕だわ、なんて思うのも束の間。彼のお姉さんの到着を待つこと30分。
出発13時45分。14時ぎりぎりに区役所に着く。式は14時半からなので、まあ大丈夫、問題はない。初めて合う親戚たちとひとりひとり挨拶を交わす。
14時半、恋人が慌てている。お義父さんがまだ到着していないとのこと。
探し回ってやっとお義父さんを見つけ(実はお義父さんは13時に到着していたのだが、門番とお喋りをしていたらしい)、式は20分遅れで始まる。そう、さして問題はないのだ。


カクテルパーティの後は、16時半頃からスタート。その後の予定は、若い人たちだけで街のレストランで20時に夕食の予約をしているので、時間には余裕がある
...本当に?

現実はこう。
パーティの間、約3時間ひたすら喋り続け、時計を見ると19時半。
そろそろ行く準備をした方がいいんじゃないかと彼を促す。じゃあそろそろ行こうかと言ってすぐに出発できるなんて、 フランスではありえない。ひとりひとりにさよならの挨拶をしなければならない。ビズをして抱きしめあって、それからまたお喋り。やっとこさ、出発しようと玄関まで集まれたのが20時ちょうど。さあ出発だというそのときに、誰かが車の鍵がないなんて言い出す始末。全員で部屋中を探し回り、無事鍵が見つかり、出発したのは20時15分。


朝からお義母さんやお義姉さん、親戚の人たちで準備してくれたカクテルパーティ
ベジタリアンカナッペたちの飾り付けがなんとも好み

街のレストランに着いたのは20時45分。店に入るなり、店員の女の子が私に向かって指差しながら、「Vous êtes super jolie! あなた超綺麗!」とウィンクをする。席に通される。45分遅れは、よかった、問題ないみたい

わたしの友人のナタリーはパリジェンヌ。彼女とは年も近くもう5年以上の付き合いで、親戚みたいに近い大事な友人。彼女は席に着くなりわたしに囁く。「この間Parisで、友達と予約していたレストランに5分遅れたのよ。じゃあサービス係がさ、もう席は他の人に譲ったって、突き返されたの。分かる?たった5分の遅刻で席がなくなってたのよ!それに比べて南仏は最高だね。」


とはいえわたしも実は、もともと日本に居た時からいつも時間に遅れてしまうたち。お喋りで時間に遅れることはないが、時間に余裕ができると要らないことをごちゃごちゃ入れ込もうとしてしまい、結果遅れるタイプ。でも、ここフランスで、はるかに自分を超える時間感覚の持ち主たちの中にきて、さすがにハラハラする。なので、今、これからの自分はどうするべきか、立ち位置に迷う(笑)
自分が引っ張っていけるように、自分の時間の感覚のネジを改めてきつく締めるべきか?
もしくは、郷に入れば郷に従え、この人たちに合わせて自分のネジをもっともっと緩めるべきか?
...きつく締めて自分が引っ張る?!
この自己主張が強いフランス人たちを?
まさかそんなことはできっこない!

というわけで、時間に遅れた時のあの、さも重大なことが起きたかのような大げさな言い訳の仕方を、態度を、表情を、この温かい愛すべき家族の中で、これから学んでいこうと思う♡ww

みなさんも言い訳はユーモアでくるみつつww 愛しい日々の連続を♥︎



その他、結婚式の細かな様子は”Ayamiのフランストリコ”にて♪




2015年8月20日木曜日

場所と体とアムールと

不思議なもので、自分の居る場所が変わっただけで、体や気持ちが楽になるということがある。体が変わったり、その人が持つ雰囲気も変わったり、人によっては分かりやすく人相まで変わる。


フランスに来て、なんというか、今まで以上に楽になった。体の面も。気持ちの面も。6年前Parisに住み始めた時も同じように感じたので、フランスの気候なのか、もしくはこの土地の持つ周波数のようなものが自分に合っているのだろう。あるいは湿気のせいなのかなとも考える。わたしは湿気にかなり弱くて、湿気が多いと体調を崩しやすい。気圧の変化にも少し敏感で、一種の低気圧アレルギーのようなところがある。湿気が少ない土地にきて、ただ体が楽になっただけのことかもしれない。

楽になったようなのは恋人も同じようで、日本に居るときの彼はもう少し繊細でどこか少し気むずかしいイメージがわたしの中にあった。3か月ぶりにあった彼は、その気むずかしさは驚くほどなくなっていて、おおらかになって、もともと穏やかで優しい人だけれど、もっと楽しい空気を増した雰囲気を醸し出すようになっていた。彼にとってはフランスが母国なので、もちろん気が楽になるだろうと思う。彼が日本という外国できついことがあった時も知っている。わたしたちはここにきて、今までよりもっとふたりで気持ちを楽にして居られるようになった。


自分自身が精神的に安定すること、精神的な自立がどれだけ大切なことか、ここ2,3年くらいの中で体感した。人は、モノに、人に、環境に依存しやすくて、目を話した隙にすぐに何かに依存しようとしてしまう。精神的に自立するために何が必要なのか、何が不必要なのか、それを探し求めることにことさら集中した時期もあった。
自分が精神的に自立していくにつれ、周りとの関係も変わってきて、どんどん楽になって、いろんなものが自然に流れるようになった。感覚は敏感になるけれど、不安には鈍感になってあんまり一喜一憂しなくなるような感じ。そうなると、精神的に安定しているからその状況になるのか、もしくは安定することを求めているからその状況を選んでいるのかわからなくなるのだけれど、多分そのどちらもそうで、最初からそういうものなのかもしれない。
フランスに来たから自分自身が今まで以上に楽になったのか、もしくは自分が楽になったからフランスに来たのか、おそらくそのどちらでもあるのだろう。


フランス人、この人たちの多くは(全員がそうではないと思うけれど)、いとも自然に言葉で、態度で、表情で、体全体で、気持ちを表現する。もちろん、これはいい意味でも悪い意味でも。(直接的な態度や言葉に慣れていない人にとっては、戸惑うこともあるだろうと思う。)このことはフランスに来て改めてわたしに、恋人はフランス人だったのだと認識させた。
彼は、日常生活の上で、大事な人同士は体の触れ合いが大事だと、日本に居る時からわたしに言い続けてきて、身をもってわたしに教え続けてくれた。恋人同士はもちろん、友達同士や家族で、愛情を言葉でもたっぷりと、それだけではなく、肌でも伝えること。電話で彼はお父さんと、もしくはお母さんや兄弟と話しているとき、何か辛そうなことがあったり安心させたい時があれば必ず”Je t'aime”(ジュ テーム 愛してるよ)と伝えている。それから例えば、相手が辛そうにしている時、肩を撫でたり抱きしめたりする。
相手を大事に思うことを、相手の体に直接伝えること。今までのわたしに不足していたことだった。彼と居るようになり、その感覚を少しずつ取り戻し、体のつながりは子供にだけ必要なわけではなく大人にとってもどれだけ大切かを知った。

わたしがフランスに着いて2日目、彼のお母さんは「大丈夫?長旅で疲れたでしょう?」と後ろからわたしの両方の肩をゆっくり撫でた。
こういうことを自然に大人同士でもし合えるということは、その分やっぱり体が、気持ちが、楽になる。


そして例えば恋人と。些細なことを”話合わなかった”ことで誤解が生じて、そこからお互いのエゴが大きくなって、何かのせいにしたくなって相手を傷つける言葉を使ってしまう、なんてことも起こったりして、恋人がふと「僕たちは全然まだまだ自分自身のエゴにとらわれているね。」なんて言って、ふたりで苦笑する。


精神的な安定のほうへ向かえば向かうほど、わたしはどこまでいっても動物なのだ感じさせられる。体の温もりだとか、元気にする食べ物だとか、その土地の匂いだとかその土地の空気だとか、それらに包まれる心地よさを本能で知っているし、その方向に向かおうとする。それから、エゴが決して敵ではないこともわかるようになる。


何を言いたいのかといえば、よくわからない(笑)
ただ、もし例えば体調がよくないとか、何かに不安を抱いているとか、精神的に安定できていないと感じる人がいるなら、少しの間でも例えば自分の居る場所を自分の鼻が利く方へ変えてみるというのもひとつの方法かもしれないな、と、この南仏の深い突き抜ける青と、海の輪郭の色を知って、ふと思った。それから、本当は最終的な優しい場所はいつも自分の中の奥の奥の方にあることを知れたらと思う。


毎日愛しい笑顔で誰かと笑いながら、ひとりの時、今の状況から抜け出せないと不安に沈む夜を抱える大切な友人たちへ。大切なことのためにこれから何かに挑戦しようとしている頼もしい友人たちへ。風にのせてAmourを♡



 ★★★お知らせ★★★
このブログとは別に、フランスの生活を中心にした、見ること、聞くこと、食べること...etc、フランスの魅力をイロトリドリたっぷり紹介するブログができました♡ ほぼ毎日更新しますので、日々の楽しみにしていただけたら嬉しいです。

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2015年8月6日木曜日

フランス、生活の始まり

フランスに着いてちょうど一週間ぐらい。前に住んでいたので、日本とフランス間のカルチャーショックになることはあまりないのだけど、今回は南仏。Parisと南仏の違いに驚くことが多々ある。

何が全く違うかというと、まず気候。Parisは灰色の曇り空、ときどき空が青い日があると嬉しくてしょうがなくて人々はカフェのテラスで日光浴にいそしむ。夏でも涼しい過ごしやすい日がほとんど。今年は30度を超える日があったみたいだけど。でも、ここ南仏は一言でいうと、”ピーカン”の空がほぼ毎日。

最初に到着した街はマルセイユという港街で、彼のお母さんが住んでいる。マルセイユというとちょっとガラが悪い街というイメージがあったのだけど(よく日本の街では大阪に似ていると言われる。そして、けっこう言い得ていると思う。)、想像を反して自然もたくさんあってカラっとした綺麗な素敵な街だった。マルセイユはミストラルという乾燥した冷たい風が吹くので、本当に街は湿気がほとんど感じられない。この風のせいで雲がなくて滞在中ほんとに毎日ピーカン。30度以上の日が続くのにあのじとーっとした汗はかかないのだ。風が乾いてひやっと冷たいので夕方にはノースリーブだと肌寒く感じることもある。マルセイユは3日間の滞在。

彼のお母さんはサラダのドレッシングにいつも醤油を使う。そして、醤油のことをTAMARI(タマリ)という(笑) 昔はラベルにTAMRIと書いて売っているのが定番だったらしく、けっこう醤油をこう言うフランス人がたくさんいることを初めて知った。ちなみに味は普通の醤油。たまり醤油ではない。


彼のバカンスも終わったので、彼の職場があるVillefranche-sur-Mer(ヴィルフロンシュ スューメール)というNice(ニース)の近くにある小さな町に移動。ここは、わたしはまったく知らなかったけど、観光地としては有名なところみたいで、小さな町だけどバカンスを満喫している人がたくさんいる。ここはマルセイユに比べて、ミストラルがないせいで湿気が少しある。
今滞在しているアパートは彼の職場が探してくれたワンルームで、ふたりではやっぱり何かと手狭なので今新しいいアパートをNiceで探している。小さくて狭くてキッチンも独り暮らし用のどうにも使いづらいものだし、アパートがかなり丘の上にあるので、ちょっと買い物をしようとすると広場まで15分くらい続く長い長い階段を降りていかなければならない。もちろん、帰りは反対に荷物を持って15分階段を登り続けるのだ。なんとも不便!!それでもとってもいいところもある。それは、アパート住人専用の屋外プライベートプールが建物に隣接されていること。日中はみんな働いているのか誰も泳いでいないので、ひとり占めできるのだ。あまりにも気持ちよすぎるので毎朝プールで泳ぐのが日課になってしまった。おかげでたちまち日焼けしている。このままだと結婚式には真っ黒になる。


コートダジュールの青を体感できる街

で、だいぶの楽しみだった野菜と果物だけど、やっぱり美味しい。同じ野菜でも色も味もギュッと濃くて、簡単にサラダにして生で塩と胡椒だけで、ボリボリカリカリクサクサ食べるのでも本当に満足する。遠くから船で運ばれた果物だけじゃなくて、地元の旬の生の果物を食べたい!というのは日本で渇望していたことだったので、それが実現できてこの上なく嬉しい。それを毎日できることに感謝しようと思う。ビオ(オーガニックのことをフランスではこういう。)のお店も豊富なので、いろいろと目新しいものが増えていて楽しい。実験を重ねようと思う。




フランスでこれから使う新しい携帯を恋人が用意してくれた。わたしの携帯の電話帳には、彼や彼の家族を入れて親しい人の登録は10人にも満たない。なんかシンプルで悪くないなと思う。パリやボルドーには友達たちがいるけれど、この街には恋人以外誰ひとりと知り合いがいない。こんな風に恋人以外誰ひとりと知り合いがいない街で暮らすのは、そういえばわたしの人生これが3度目だ。その度に親しくなる友達ができて、自分もいろいろ変わっていく。
ちょっと1週間いたぐらいで、たとえば今までと着る服が変わったり、食べるものが変わったりするので、そこから体の外身も中身も変わってどんどんどんどん物の見方や価値観も変わっていくんだろうな~と思う。楽しみだ。



毎日暑くて干からびそうになるけれど、みなさんも愛しい日々の連続を