2016年2月11日木曜日

魂の筋トレ

試されてる、何かに。鍛えられてる、何か大きな力によって。この半年、何度こう思っただろうか。

フランスでの生活は自分に合っていて気楽だ、楽しい!と思うこと半分、それから誰かの陰謀、もしくは魂の筋トレか?!と思うほどもういい加減にして!とへとへとになること半分。日本ではよほどのことがない限り起こらないであろうことがここでは結構な頻度で勃発する。日本で目をつむってもできそうなくらいツルっと運んでいた事がここでは1ヶ月以上かかるなんてことは、日常茶飯事。自分のちょっとした”まあ大丈夫だろう”なんて気を許して手を抜いたことや、ちょっとしたケアレスミスなんかで結果へっとへとになることがあるし、この不条理さを誰にぶつければ!なんて地団駄を踏む理不尽なこともたくさんあって、結果、自分の腑甲斐なさに涙することが山ほどある。
 
雨の日のスパイスたっぷりローボール

随分と長い間、フランスというところは色んなことが体系化されいなくて不便だ、フランス人のこの適当な性格のせいだ、なんて考えていた。ああ大変だとただそれだけ感じていた。もちろん、そういうことでもあるんだけれど、最近、もしかしてそれだけじゃないんじゃないかな、なんて感じてきたのだ。

媚薬のスパイスたっぷりローボール♡

わたしがヘトヘトになって、ぐったりとなった時、Cyrilがわたしに話したこと。
”体系化して物事を整理して進めていくことは本当に大切なんだけどね。昔日本に居た頃、フランス人の友達3人である島に遊びに行ったんだ。海の近くに行ったらさ、向こうの方でバタバタしている人がいる。よく見るとその人は溺れていたんだ。驚いて思わず「大変だ、人が溺れてる!」って叫んだ。周囲の人も溺れている人がいることに気づいたんだけどさ、驚くことに何もしないんだ。というよりとっさのことに気が動転してしまっているんだろうね、動けないんだよ。その場で、例えば「救急車を呼んで!」とか、「誰か人だかりを整理して!」とか、そういうことを叫んで指図していたのは僕たちフランス人3人だけだったんだよ。友達のひとりはその人を助けに行こうと泳いでいった。でもやっぱりだれも救急車を呼ぼうとしないもんだから僕が電話した。結局その人は助からなかった。死んだんだ。

ジンジャー&カルダモン入りのアーモンドミルクココア

でも僕が驚いたのは正直そのことじゃなかった。あの時僕たち以外動いていた人がいなかったこと。あんな風に誰も行動できないなんて、信じられなかった。フランスじゃあ有り得ないことだから。僕は日本に長く住んだし、いいところをたくさん知っているし大好きなんだ。いろんなことが首尾よくオーガナイズされている社会って本当に便利だしフランスもそうしていかなければならないんだけど、でもそうやって何でもスムーズにいくように計算されて何でもやってくれるている社会にいると、それが崩れた時に自分では何もできない、というか考えることができないようになっている危険性があるということだと思う。実際、いつ大きな戦争が起こるかわからないし、非常事態が起こらないというわけでもない。そういう時にどれだけ自分の力で考えて、取り乱さずに、悲観的になって死なずにいられるような精神力があるかって、そこって大事なんじゃないかな。君もフランスでかなり精神的に鍛えられてるよね。だからって、このフランスの適当さとオーガナイズされてなさは全く褒められたものじゃないし、かなり面倒臭いけどね〜。ああやっぱり日本のスムーズさは懐かしいな(笑)”

ヴィーガン巻き寿司

水漏れがあったとしても修理の人を呼べばその日にすぐ来てくれるわけじゃない。新幹線のような特急列車が何の理由か分からずに1時間以上遅れることも日常茶飯事。国の滞在許可書取得の大事な予定(絶対に遅れてはいけない)のためにわざわざタクシーを呼んだにもかかわらず住所が見つけられず別のところに連れていかれ、しかも2回目に呼んだタクシーにも別の建物の前で下ろされ(運転手はそこが合っていると思い込んでいる)、余裕をもって30分前に着くように出発したはずが約束の時間に1時間も遅れ、結果、建物の入り口で門前払い、滞在許可書の手続きをしてもらえなかった。挙げ句の果てには、冬の真っ只中、前ぶれもなく4日間も電気なし生活(そのアパートは全部電気だったので、お湯もでないし暖房も使えない)を余儀なくされ、そしてああやっと今日電気会社の人が来てくれる!と思った朝、またそれが失敗になり1日延びたなど...
全部わたしに起こった話(笑)

ラズベリーとパッションフルーツのロータルト

わたしはその都度取り乱し、アンバランスになってCyrilにやつ当たりした。日本では安定して続けられていた瞑想もこの半年全く集中できずに滞りがちになっていた。日本にいた時はわたし自身、スムーズな社会にいて家族や友達の気配りに囲まれて、自分がさも精神的に落ち着いていると錯覚していた。ヘトヘトになる原因は、その起こってしまった出来事に対してのわたしの取り乱し方や落ち込み方によるところが多いと分かった。でも徐々に何とか対処しなければ、と少しずつだけど行動できるようになってきているし、そういうことが起こっても笑えるようにもなってきた。わたしにはまだまだ実際に現実をザクザクと対処していく力と、どんな状況でも思いやりをもって人に接する力と、どんな状況でも冷静にいられる力が足りないんだと、実感させられている。

香菜と干し椎茸、大根のお蕎麦

とはいえ、ひとつひとつ細かく見ていくと、悪い出来事の裏側にはそれに値する何か次に繋がることが必ず潜んでいる。驚くことに必ず潜んでいた。だから、ああ魂の筋トレなんだな、なんて思えるんだけれども(笑)

そして、とうとうまた引っ越しをしたw これでこの半年で3回目、わたしの人生では10回記念の引っ越し。考えてみれば前のアパートに越してからというものヘトヘトになること続きで(というか蓋を開けてみればそのアパートが問題だらけだった)、最後の電気無し5日間が好機を呼び、偶然にもとてもいいアパートに入居できることになり、弾丸引っ越し!前のアパートから徒歩2分の引っ越しなので、生活スタイルも変わらないし、気に入っていた教会の鐘も聞こえる。

洋梨とスパイスのヴィーガンケーキ

そして、あの事件から1ヶ月経ち、無事フランスの滞在許可書を取得できた!!
フランスに再入国してから3ヶ月以内にこの手続きを完了しなければ不法滞在になってビザが無効になってしまうんだけど、あと3日で期限切れだった。いや〜、まったく退屈することができない生活だw
ちなみに...Cyrilは日本に居た時仕事柄、自分の使うフランス語に気をつけていて、下品な表現や単語(フランス人みんなが日常茶飯事に口にする)をめったに口することがなかった。4、5年で3、4回程度。でも上↑でいつも落ち着いていてわたしをなだめているように書いている彼も、ここフランスに戻って「メルド!(糞)=くそっ!」やここではとうてい書けないがフランス人が日常茶飯事口にする下品な単語も、この半年くらいで驚くほど彼の口からも発せられていることは陰口としてここに書いておく。(ヒヒヒ)

最近赤色が気になる♡赤キノアのサラダ

こんなこと書いてしまったけれど、どうかフランス行くのいやだな〜、なんて思わないでください...(笑)
フランスの暮らしは想像以上に大変なことも多い、そして、でも、想像以上に楽しい。まだまだ魂の筋トレ中です。

みなさんも愛しい日々の連続を♡





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