2014年6月3日火曜日

矛盾の言い訳

最近ビタミンとか鉄分が不足してるよなーなんて考えて、もともとが単純思考なので、じゃあ毎日朝に果物を食べようかしらと思い立ち、八百屋に出向いた。で、改めて思ったのである。なんて日本は果物の種類が少ないんだろう...もちろん、バナナやキウイ、オレンジやレモンは常時並んでいるんだけど、全部輸入品であって、日本の果物というと今の季節、柑橘類しかほとんどない。少し前は苺がたくさん並んでいたけれど、その季節が終わった今の果物売り場は少し寂しい。しかもフランスに居た頃に比べるとやっぱり断然値段が高い。


で、いろいろ調べて、ビタミン不足と鉄分不足の自分に合いそうなサプリメントを買ってみた。で、飲み始めていて調子も悪くないのだけれど、本当はできればやっぱり食べ物のかたちをしたものから栄養を摂れればいいのにな、と考えてしまう。サプリメントで”補う”のならいいのだけど、野菜とか果物とかを とらずに、薬のようなかたちをしたカプセルや粉末状のものからだけで栄養を摂取することに、少なからず抵抗を感じるのだ。口に入れるものはできるだけ 自分でいいと思えるものを、それから美味しいと味わえるものを選びたい。



で、そんなことを考えていると、先日、ジム友達のイギリス人Gとお茶をしていた時、「最近ジューサーを買ったんだ!」とGが嬉々として話し始めた。高性能のジューサーらしく、普通に買えば3万円近くするらしいが、オークションで半額で手に入れたらしい。毎日八百屋に行っては果物を選び、家に帰ってネットでいろんなレシピを検索していろんな味のジュースを飲むのが今の楽しみらしい。「健康だ!」って感じがするのだそうだ(笑) で、「君にもぜひジューサーライフをおすすめするよ!」とピカっとした笑顔でいい放ち、バイセコーをクルッと方向転換して帰っていった。(G:50代前半)

3万円のジューサーか~。そりゃあ、ジューサーライフ、もちろん取り入れたいけれど、こんなに果物の種類も少なくて値段も高いし、毎日の果物代だけでも馬鹿にならないしな~、なんて考えていた。


なんて考えてながら、シャワーを浴びて、口紅を塗って、家の鍵を持って、さあ友人との待ち合わせに出かけようかと靴を選ぼうとした瞬間に、思った。
この愛すべき靴たちと、毎日の果物代、さてどっちが大事?
 


で、困った!取り乱した!
わたしの世界は大いに矛盾していることに気づいたのだ。

で、”わたしってなんてアンバランスなの!”という思考に陥り(笑)、さっそく夜、散歩をしながら恋人に訴えてみた。

「食べ物のこと気にしたり、資本主義とか物質主義とか消費社会から離れたいとか、そんなこと考えたりしてるくせに、わたし、対ファッションとなると、どーうしても洋服が好きだし、ハイヒールの絶妙な角度とかにやっぱりどーうしても魅了されていて、服を着ることが好きだし、だっさい女の人とか好きじゃない。でも、ファッションの世界って消費社会の象徴みたいなもんでしょ?結局は自分からどうしても消費社会を切り離せないんじゃないかって思ったの!しかもジューサーの値段にはケチ臭いくせに、ルブタンのハイヒールにはそれ相応の価値があるなんて即答してしまうんだけど!わたしこんなにアンバランスでどうしよう!!」と、いっきにまくしたてた。

取り乱しているわたしに彼は「オーMa paubre!」(←”可哀想に...”というような表現)と大げさに言って、わたしの手を繋ぎなおした。
そして苦笑しながら続けた。
「確かにね、ファッションの世界ほど消費で成り立っているところはないと思うけど、でも別にそのファッションの消費世界が好きなんじゃないんでしょ?ただ単にいろんな洋服を着ることが好きなんでしょ?女性だし、自分を綺麗にすることとかお洒落することが悪いとは思えないよ。芸術とか美とかそういうものは人間だけが持っているんだし、素敵なことだと思うよ。着ることだって大切なことだよ。」となぐさめてくれた。

「ところでルブタンの靴っていくらするの?」と訊くので、真実を教えてあげた。彼はピュウと口を鳴らして「それを履いて自転車には乗れないね。」と肩をすくめる。


まあそれはそうか。彼の言う通り、たしかに、べつにわたしは何着も何着も洋服を買うこと自体が好きなわけじゃない。コーディネートを考えて楽しむことが好きなだけだ。流行が好きなわけでもない。昔着ていた”箪笥の中の自然ヴィンテージ”を引っ張り出して楽しむこともできる。お金をかけることだけがお洒落だとは断じて思っていない。

それに素敵な洋服や靴を買えたとしても、自分がそれにちぐはぐなのでは心地がよくない。
” ルブタンを履いて自転車”とか、”プラダのバッグを買うために、ランチはコンビニの納豆巻きだけです♡”とか、”ランバンのワンピースは持ってるけれどそれを着てレストランに一緒に行く最適なボーイフレンドは、居ません”、みたいな、そういうエレガンスさが無いアンバランスさはあまり好きではない。”サプリメントが食事です”みたいになんだか本末転倒な気がするからだ。
どんなに着飾って素敵な靴を履いていても、噂話とか、今の流行とか、男女のすったもんだとか、そういう話しかできないことにもあんまり興味がない。

生きるのにはビタミンが必要なように、芸術とか美しさとかを楽しむことはわたしにとっては本当に大切なことだ。



という考察をして自分を落ち着かせてはみても、毎日の果物代やジューサーにはケチ臭いくせに、ルブタンのハイヒールには「うむ、価値あり!」と相手の顔の前にぐいと親指を立ててその額にめり込ませる勢いに、アンバランスさは大いに否めない(笑)
そんなアンバランスなわたしを受け止めてくれている彼は、
あ~なんて寛容なんでしょう♡  ...ww



恋人になぐさめてもらってようやく平静を取り戻したわたしは、そういえばもう少ししたら桃の季節だな~、なんてやっぱり果物屋さんを覗く。
そんな時に似合うのはルブタンのパンプスでもないし、オールスターのハイカットでもない。羊皮のバレエシューズか、もしくはチープでもいいから素敵な(ヒールの高すぎない)ウェッジソールなんかがいいと思う。それに、大きめのパニエか、もしくはお気に入りのデザインのエコバック(雑誌の付録とか、紀伊国屋のアレは個人的にNG!)が丁度いいなと思う。

自分の中の相反する世界に気づいてしまったけれど、まあそれはそれ、歪んでいないならよしとしよう。
女性の美しさはアンバランスさの上に成り立つこともあるのだから。

なーんて、当分のあいだはこの大きな矛盾の言い訳をぐいと押し通すことにするww
だってやっぱりお洒落をすることはわくわくするし♡






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